インプラント手術の際の注意点
インプラントは外科手術をともなう治療法のため、手術に対して不安を感じる方は少なくありません。手術前後の注意点を十分に理解し、対処法を知ることで、良好な治療結果を得ることにつながります。
本コラムでは、インプラント手術における重要な注意点について解説します。インプラント治療を検討している方は、ぜひご参考にしてください。
インプラント手術前の注意点
インプラント手術を安全かつ円滑に行うためには、患者さまご自身による術前の準備が必要です。特に、健康管理や感染リスクの予防など、いくつかの重要な注意点があります。インプラント術前の注意点は以下の5つです。
・あらかじめ持病や服薬中の薬を歯科医師に伝える
・禁煙する
・前日は暴飲暴食やアルコールを控える
・車や自転車などでの来院は控える
・義歯、装飾品は外す
以下では、術前の注意点について詳しく説明します。
あらかじめ持病や服薬中の薬を歯科医師に伝える
持病がある場合は、服薬中の薬とあわせて担当の歯科医師に申告してください。
インプラント治療においては術前に治療の可否を判断する必要があるため、糖尿病や循環器系疾患、骨粗鬆症などの全身疾患をお持ちの場合は、治療開始前に必ずお伝えください。
禁煙する
喫煙はインプラント体と顎骨の結合を妨げ、手術の傷の治りを遅延させます。喫煙習慣がある場合は、早めに禁煙を始めてください。
前日は暴飲暴食やアルコールを控える
手術当日に体調がすぐれない場合は、手術を延期することもあります。手術前日は、暴飲暴食や飲酒などを避け、睡眠をしっかりととって体調を整えてください。
車や自転車などでの来院は控える
手術時に麻酔を使用するため、手術後の運転は控えてください。当日は公共交通機関または自動車の場合は付き添いの方の運転でご来院ください。
義歯、装飾品は外す
義歯やアクセサリーは手術開始までに外してください。また、感染予防のためメイクも控えましょう。
インプラント手術後の注意点
インプラント手術を安全かつ円滑に行うためには、術後にも気をつけなければならない点があります。特に、治癒を遅らせる行為やインプラント体と顎骨の結合を妨げる行為など、いくつかの注意点があります。術後の注意点は、以下の4つです。
・処方された薬を指示通りに服用する
・血行を促進させる行動は控える
・食事はやわらかいものを中心にとる
・生活習慣を改善する
以下では、術後の注意点について詳しく説明します。
処方された薬を指示通りに服用する
術後は腫れや痛み、感染などを抑制する薬を処方します。歯科医師の指示にしたがって服用してください。
血行を促進させる行動は控える
うがいなどの傷口が開くような行為、入浴や激しい運動など血行を良くする行動は控えてください。感染の原因になったり、傷口が塞がるまでに時間がかかったりする恐れがあります。
食事はやわらかいものを中心にとる
手術後は、口の中を噛む恐れがあるため、食事は麻酔が完全に切れてからとりましょう。固いものや刺激物を避け、うどんなどやわらかいものがおすすめです。
生活習慣の改善
手術後も禁煙は続けてください。タバコに含まれる有害物質により傷の治りが遅くなり、インプラント体と顎骨が結合しない可能性が高まるためです。アルコールについても同様です。
栄養バランスを考えた食事や良質な睡眠も重要となります。
インプラント手術は、患者さまの協力なくしては成功しません。本コラムでご紹介した注意点を守り、インプラント治療の成功率を高めましょう。
Q1:インプラント手術で入院する必要はありますか?
A1:基本的には入院の必要はありません。ただし、全身麻酔が必要な場合などは、入院が検討されることもあります。
Q2:人工歯を取り付けた後の注意点はありますか?
A2:はい、あります。人工歯を取り付けてインプラント治療が終了した後は、インプラント周囲炎の予防のため、定期的に歯科医院でのメンテナンスを受けましょう。
記事監修 おのざと歯科院長 小野里 元気

■ 略歴
- 日本歯科大学新潟歯学部 卒業
■ 所属学会・資格
- 日本口腔インプラント学会 専門医
- 新潟再生歯学研究会 理事
- 日本先進歯科医療研究会 会員
- IDIA(International Dental Implant Association)指導医
- 日本臨床歯科CADCAM学会 会員
- 日本歯周病学会 会員
- 日本臨床歯周病学会 会員
- 群馬歯周治療研究会 会員
- デンツプライシロナ株式会社 ライブデモ講師