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インプラント治療コラム

インプラントで金属アレルギーは起こる?原因とリスク、対処法を解説

2025.12.12 インプラント
インプラントで金属アレルギーは起こる?原因とリスク、対処法を解説

インプラントは失った歯の機能を回復させる有効な治療法ですが、体内に金属を埋め込むため、金属アレルギーのリスクを心配する方もいます。

結論から言うと、インプラント治療で金属アレルギーが発症する可能性は極めて低いとされていますが、ゼロではありません。

この記事では、歯科インプラント治療で金属アレルギーが起こる可能性やその原因、具体的な症状、そして治療前にできる対策や発症した場合の対処法について網羅的に解説します。

インプラントで金属アレルギーは起こる?原因とリスク、対処法を解説

インプラント治療で金属アレルギーが発症する可能性はある?

インプラント治療で金属アレルギーが発症する可能性は極めて低いとされていますが、ゼロではありません。
特に、過去にアクセサリーや時計などで皮膚のかぶれを経験したことがあるアレルギー体質の人は注意が必要です。
また、アレルギーは体質の変化によって突然発症することもあり、特に40歳を過ぎると免疫機能の変化から、これまで問題がなかった人でも発症するケースが見られます。
そのため、既往歴の有無にかかわらず、リスクを理解しておくことが重要です。

インプラントで金属アレルギーは起こる?原因とリスク、対処法を解説

インプラントで金属アレルギーが起こる仕組み

金属アレルギーは金属そのものが直接アレルギーの原因となるわけではありません
汗や唾液などの体液によって金属が溶け出しイオン化した金属が体内のタンパク質と結合することでアレルギー源となるタンパク質に変質します
この変質したタンパク質を体の免疫システムが異物と判断して過剰に攻撃する防御反応がかゆみや発疹といったアレルギー症状として現れます
つまり金属アレルギーは金属イオンと金属に対する体の免疫反応によって引き起こされます

主な原因はインプラントに含まれる金属イオンの溶け出し

インプラントによる金属アレルギーの直接的な引き金は、インプラント体から溶け出した金属イオンです。
インプラントの主成分であるチタンは、表面に強力な酸化皮膜を形成するため、唾液に触れても金属イオンが溶け出しにくく、アレルギー反応を起こしにくい性質を持っています。

しかし、インプラント製品によっては、強度を高めるために他の金属が微量に含まれているチタン合金が使われることがあります。
ニッケルなどのアレルギーを起こしやすい金属が不純物として含まれている可能性も否定できません。
これらの金属イオンがごく微量でも溶け出すと、アレルギー症状を引き起こす原因となり得ます。

口内や全身に現れるインプラントの金属アレルギー症状

インプラントによる金属アレルギーの症状は、インプラントを埋め込んだ口の中だけでなく、全身に現れる可能性があります。
金属イオンが唾液を介して体内に入り、血流に乗って全身を巡るためです。
口内炎や歯茎の腫れといった局所的な症状から皮膚のトラブルまで、その症状は多岐にわたります。
これらの症状は、インプラント治療後すぐに現れるとは限らず、数年経ってから発症することもあるため注意が必要です。

口の中に現れる主な症状(口内炎・歯肉の腫れなど)

インプラントによる金属アレルギーが口の中に現れる場合、インプラント周囲の歯肉が赤く腫れたり、ただれたりする歯肉炎のような症状が見られます。
また、繰り返しできる口内炎、舌の痛みやピリピリとした感覚を覚える舌炎、唇の腫れや荒れが起こる口唇炎なども代表的な症状です。
そのほか、食べ物の味がわかりにくくなる味覚異常が生じることもあります。
これらの症状は、口腔内の清掃不良や他の疾患が原因である可能性も考えられるため、自己判断せずに歯科医師による正確な診断を受けることが不可欠です。

全身に現れる可能性のある症状(皮膚のかゆみ・発疹など)

口の中から吸収された金属イオンは、血液によって全身に運ばれ、皮膚にアレルギー反応を引き起こすことがあります。
代表的なものとして、手のひらや足の裏に水ぶくれや膿が多発する掌蹠膿疱症が挙げられます。
また、全身の皮膚にかゆみや発疹、赤み、じんましんが現れたり、既存のアトピー性皮膚炎が悪化したりするケースも見られます。
顔や首、手足など、インプラントから離れた部位に症状が出ることが特徴で、長年悩まされていた原因不明の皮膚トラブルが、歯科金属を除去することで改善することも少なくありません。

 

インプラントで金属アレルギーは起こる?原因とリスク、対処法を解説

金属アレルギーが心配な方がインプラント治療を受ける前の確認事項

インプラント治療を検討している方、特に過去に金属でかぶれた経験があるなど、金属アレルギーの心配がある人は、治療を開始する前にいくつかの確認事項を徹底することが大切です。
事前の問診での正確な申告や、専門的な検査を通じてリスクを把握し、適切な対策を講じることで、治療後のアレルギー発症を防ぎ、安心してインプラント治療を受けられます。
これらの予防策は、安全な治療の第一歩となります。

治療開始前に必ず歯科医師へアレルギーの有無を申告する

インプラント治療前のカウンセリングや問診の際に、金属アレルギーの有無やその疑いについて必ず歯科医師に申告してください。
ピアスやネックレス、時計のベルト、ジーンズのボタンなどで皮膚にかゆみやかぶれが生じた経験があれば、それは重要な情報となります。
また、過去に受けた歯科治療で使われた金属(銀歯など)で不調を感じたことがある場合も伝えるべきです。
チタンアレルギーは非常に稀ですが、可能性はゼロではないため、チタン合金に含まれる他の金属へのアレルギーも考慮する必要があります。
些細なことでも事前に共有することが、適切な治療計画を立てる上で欠かせません。

パッチテストを受けてアレルギーの原因金属を特定する

金属アレルギーが疑われる場合、どの金属が原因であるかを特定するためにパッチテストという検査を受けることが推奨されます。
これは、アレルギーの原因となりうる様々な種類の金属試薬を染み込ませたシールを背中や腕の内側などに貼り付け、48時間後、72時間後、1週間後に皮膚の反応を観察する方法です。

この検査により、自身がどの金属に対してアレルギーを持っているかを正確に把握できます。
歯科医院によっては皮膚科と連携して検査を実施しており、結果に基づいてアレルギー反応を起こさない安全なインプラント素材を選択することが可能になります。

インプラントで金属アレルギーは起こる?原因とリスク、対処法を解説

アレルギーリスクを抑えるインプラント素材の選択肢

金属アレルギーのリスクを懸念する方のために、アレルギー反応が起こりにくい素材で作られたインプラントも開発されています。
現在主流のインプラントはチタンまたはチタン合金ですが、これらの中でもより純度の高いものや、金属を一切使用しない素材を選ぶことで、リスクを大幅に低減させることが可能です。
歯科医師と相談し、自身の体質に合った素材を選択することが、安全なインプラント治療につながります。

アレルギー反応が起きにくい純チタン製のインプラント

一般的なインプラントには、強度や加工性を高めるためにアルミニウムやバナジウムなどを添加した「チタン合金」が使用されることが多いです。
これらの添加金属に対してアレルギー反応を示す可能性があるため、リスクを最小限に抑えたい場合は「純チタン」製のインプラントを選択する方法があります。
純チタンは不純物が少なく、チタンそのものの特性である高い生体親和性を最大限に活かすことができます。
表面の不動態皮膜が金属イオンの溶出を強力に防ぐため、アレルギー反応のリスクはチタン合金に比べてさらに低くなります。
ただし、ごく稀にチタン自体にアレルギーを持つ人もいるため、事前の検査は依然として重要です。

金属を一切含まないジルコニアインプラント

金属アレルギーのリスクを完全になくしたい場合に最適な選択肢が、ジルコニアインプラントです。
ジルコニアは人工ダイヤモンドとしても知られるセラミックの一種で、金属を全く含まないため、金属アレルギーの心配がありません。
また、色が白く天然歯に近いため審美性に優れているほか、表面が滑らかで汚れが付着しにくく、インプラント周囲炎のリスクが低いという利点もあります。
一方で、チタンインプラントに比べて歴史が浅く、対応している歯科医院が限られることや、素材自体の硬さから破折のリスクがチタンより高いとされる側面も考慮する必要があります。

インプラント治療後にアレルギー症状が出た際の対処法

万が一、インプラント治療後に口の中や全身にアレルギーを疑う症状が現れた場合は、自己判断で放置せず、適切な手順で対処することが重要です。
原因がインプラントにあるのか、それとも別の要因なのかを正確に突き止める必要があります。
まずは慌てずに専門家へ相談し、指示に従って適切な処置を受けることで、症状の悪化を防ぎ、根本的な解決を目指します。

まずは治療を受けた歯科医院に速やかに相談する

インプラント治療後に口内炎や歯茎の腫れ、原因不明の皮膚トラブルなどの症状が現れたら、まず行うべきことは、治療を担当した歯科医院へ速やかに連絡し、相談することです。
症状がいつから、どこに、どのように出ているのかを具体的に伝えましょう。
歯科医師は、症状がインプラントの金属によるアレルギー反応なのか、あるいは感染や他の口腔疾患によるものなのかを専門的に診査・診断します。
必要であれば、アレルギー検査のために皮膚科などの専門医を紹介されることもあります。
早期の相談が、原因の特定と適切な対処への第一歩となります。

原因となっているインプラントの除去が必要になる場合も

各種検査の結果、アレルギー症状の原因が埋め込んだインプラントの金属にあると確定診断された場合、根本的な解決策としてインプラント体を除去する処置が必要になることがあります。
アレルギーの原因物質が体内にある限り、症状が改善しない、あるいは悪化を繰り返す可能性があるためです。
インプラントの除去は、骨と結合したインプラントを外科的に取り除く手術となり、患者の身体的、時間的、経済的な負担は小さくありません。

除去後は、ジルコニアインプラントでの再治療や、ブリッジ、入れ歯といった別の方法で失った歯を補うことを検討します。

まとめ

インプラント治療における金属アレルギーの発症頻度は非常に低いものの、可能性はゼロではありません。
特にアレルギー体質の方は、治療前に歯科医師へその旨を正確に申告し、必要に応じてパッチテストで原因金属を特定することが重要です。

現在では、アレルギーリスクの低い純チタン製インプラントや、金属を一切使用しないジルコニアインプラントといった選択肢も存在します。
万が一、治療後にアレルギーが疑われる症状が出た場合は、速やかに治療を受けた歯科医院に相談してください。

信頼できる歯科医師と十分に話し合い、自身の体質を理解した上で治療法を選択することが、安全で満足のいく結果につながります。

記事監修 おのざと歯科院長 小野里 元気

記事監修 向井⻭科 院⻑・⻭科医師 向井 紀文

略歴

  • 日本歯科大学新潟歯学部 卒業

所属学会・資格

  • 日本口腔インプラント学会 専門医
  • 新潟再生歯学研究会 理事
  • 日本先進歯科医療研究会 会員
  • IDIA(International Dental Implant Association)指導医
  • 日本臨床歯科CADCAM学会 会員
  • 日本歯周病学会 会員
  • 日本臨床歯周病学会 会員
  • 群馬歯周治療研究会 会員
  • デンツプライシロナ株式会社 ライブデモ講師

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