骨造成とは?先天性や加齢による骨の不足
インプラントを埋入しようと思ったのに、歯科医院で「骨の量が少ないからインプラントを埋入できない」と断られてしまう場合があります。
インプラントを安全に埋入するためには、顎の骨の厚みや高さが必要となるため、骨量は非常に重要な問題です。
しかし、骨量が不足している患者さまでも、骨を増やす「骨造成」手術を行うことで、インプラントの埋入が可能となるケースがあります。
本コラムでは、骨造成の種類と、顎の骨が不足する原因についてわかりやすく解説いたします。
歯科医院でインプラント治療を断られた方は、ぜひご参考にしてください。
顎の骨が不足する原因とは?
顎の骨が不足する原因には、さまざまな要因が関係しています。主な原因を以下にまとめました。
・先天性、遺伝性
先天性や遺伝的な要因には、以下のようなケースが含まれます。
・先天的形成不全
歯を構成するエナメル質や象牙質が正常に形成されず、歯の強度や機能が低下する状態です。
・先天性欠如歯
本来生えるべき歯が生えてこない状態を指します。
・歯の長期欠損
歯を失った状態を長期間放置すると、顎の骨は徐々に吸収されます。歯が抜けた部分に十分な刺激が伝わらなくなるためです。
・歯周病
歯周病による炎症が顎の骨を侵食し、骨が吸収される原因になります。
・加齢による骨密度の減少
年齢とともに骨密度が低下することは、顎の骨にも影響を及ぼします。特に、閉経後の女性はホルモンバランスの変化により骨密度が減少しやすく、骨粗鬆症のリスクが高まります。
・骨粗鬆症
全身の骨が弱くなる骨粗鬆症も、顎の骨不足の一因です。
骨造成の種類
骨造成の種類は次のとおりです。
・サイナスリフト
サイナスリフトは、主に上顎の奥歯部分の骨の高さが不足している場合に行います。
上顎洞(鼻の奥にある空洞)を持ち上げ、その下に人工骨を充填し、インプラントを安全に埋入します。
・ソケットリフト
ソケットリフトもサイナスリフト同様、上顎の骨量不足に対して行う骨造成法ですが、こちらは軽度の不足の場合に適しています。
抜歯を行った後、歯槽骨(歯が植わっていた骨)に空いた穴を利用して、少量の骨を補填する手術です。
・GBR法(骨誘導再生法)
GBR法は、インプラント埋入部分の歯槽骨を再生する方法です。特定部分を「メンブレン」という人工膜で覆い、その中に自家骨(患者さま自身の骨)や人工骨補填剤を入れて、骨を作る骨芽細胞の増殖を促します。
・遊離骨移植(ボーンクラフト)
遊離骨移植は、顎の骨が大幅に不足している場合や歯槽骨が少ない場合に適した骨造成法です。自家骨を不足している箇所に移植して、骨の生着を促します。
・ソケットプリザベーション
ソケットプリザベーションは、抜歯段階で行われる骨吸収を抑制するための処置です。
抜歯をした穴を消毒し、人口骨や自家骨を埋入して縫い合わせ、骨の回復を早める手術となります。
顎の骨の高さや厚みが不十分でインプラント治療を断られても、骨造成術により、インプラント治療が可能になる場合があります。まずは当院にお気軽にご相談ください。
Q1:骨造成の治療期間はどのくらいですか?
A1:骨の状態や造成方法により異なりますが、通常4~9ヵ月程度です。大規模な骨造成の場合は12ヵ月以上の治癒期間を要する場合もあります。
Q2:骨造成の手術時間を教えてください。
A2:骨造成手術のみの場合は30分~1時間程度、骨造成と同時にインプラント体を埋め込む一時手術を行う場合は45分~1時間程度です。
記事監修 おのざと歯科院長 小野里 元気

■ 略歴
- 日本歯科大学新潟歯学部 卒業
■ 所属学会・資格
- 日本口腔インプラント学会 専門医
- 新潟再生歯学研究会 理事
- 日本先進歯科医療研究会 会員
- IDIA(International Dental Implant Association)指導医
- 日本臨床歯科CADCAM学会 会員
- 日本歯周病学会 会員
- 日本臨床歯周病学会 会員
- 群馬歯周治療研究会 会員
- デンツプライシロナ株式会社 ライブデモ講師